流体融合研究センター
基幹研究部
Core Research Division,
Transdisciplinary Fluid Integration Research Center

実事象融合計算研究分野

Reality-Coupled Computation Laboratory

 

 

 

 当研究分野では、動的高解像度画像計測と分散型コンピューテーションの革新的融合研究に基づく先端流体解析手法の開発・体系化を目指すとともに,次世代エネルギーに直結した新しい混相流体工学応用機器の開発・最適設計ならびに創成を目的とした応用研究を推進している。特に数値解析の手法としては近年その発展が著しいクラスター型の並列計算による分散型コンピューティング手法を積極的に取り入れ,計測結果の分散型取りこみと並列計算の融合研究により高精度の流体機器設計手法を確立することを目標としている.

 

マイクロソリッド二相流を用いた次世代能動冷却システムの開発

 

マイクロソリッド二相流を用いた冷却システムの特徴としては,1) 固相粒径をミリオーダからマイクロオーダまで最適制御することにより,混相冷媒流体の二相見かけ粘度を低下させ冷媒流路内における圧力損失の軽減化が可能,2) マイクロオーダの粒径を有効活用することによるマイクロチャネル内のMEMS冷却が可能,3) Solid Phaseのポンピング効果(Liquid-Solid運動量交換)による流体加速と伝熱促進が期待できる,等の様々な利点を有している.本研究分野では実験とコンピューテーションの融合研究により次世代能動混相冷却システムを開発し,冷却性能の最適化を行うことをめざしている.

 

(a)      マイクロソリッド二相流利用型冷却システムの模式図


 

(b)      マイクロソリッド二相流冷却システムに関する融合研究

 

  

インジェクターノズル内噴霧微粒化機構に関する一体型シミュレーション技術に関する融合研究

 

テキスト ボックス:  

液柱から液膜形成,液膜から分裂,液滴形成に至る一連の微粒化プロセスに関する一体型数値計算例
 自動車のガソリンエンジンインジェクターノズルあるいは液体燃料ロケットの液体酸素・水素ロケット噴射器(インジェクター)における極低温流体の液柱から液滴への分裂過程,キャビテーションを伴う噴孔上流の流れを考慮した分裂過程,分裂を経て微粒化液滴形成に至るまで一連の気−液滴混相流動場に関し,LES-VOF法を用いた一体型非定常3次元混相乱流解析を行い,インジェクターノズル内液体微粒化メカニズムに関する詳細な数値予測を行っている.さらに微粒化ソルバーの改良を行い,自動車ガソリンあるいは液体ロケット用インジェクターノズルの複雑形状に適応しうるソルバーの開発をめざしている.実際の数値解析の実施に当たっては,大規模混相乱流を扱ったCFDであるので高速PCクラスターの並列計算による分散型コンピューティング手法を用い,さらに計測結果の分散型フィードバック処理を付加することにより融合解析結果の精度向上を図っている.

 

先端機能性流体混相流の活用による次世代マイクロスケール発電システムに関する融合研究

 

 混相流体に磁化特性・電気的特性を与え,それに作用する二相電磁体積力を効果的に利用することにより,マイクロスケールの高機能性混相流体発電システムまたは高機能性混相エネルギー変換システムの開発を行うことを目的とした融合研究を行っている.本方式による発電システムを既存のLMMHD二相流直接発電システムと組み合わせ,ハイブリッド型のpre あるいは post-MHD power generatorとして使用することにより,高出力密度を有する二相LMMHD発電システムの実用化をめざしている.

 

導電性磁性流体キャビテーション流利用型二相MHD発電システムの模式図と数値計算例